京都市のおとなり、滋賀県大津市。琵琶湖岸の爽やかな雰囲気と石山寺といった歴史あるスポットが共存した趣深いエリアです。なかでも南部の瀬田川付近は、JRや京阪電車の駅があり、京都や大阪へアクセス良好な、暮らしやすい地域。今回は、川沿いにたつ「椿ハイツ瀬田川」の住人の、のどかな休日をご紹介します。ウィークデイは窓から瀬田川を眺めて暮らしているけれど、休日は川沿いにお散歩へ。少し早めに朝食をとったら、瀬田川のほとりにたつ石山寺へ向かいます。
紫式部ゆかりの石山寺でパワーをいただく、午前9時
石山寺は奈良時代に創建され、1200年以上の歴史を重ねてきた寺院です。力強い仁王像が見守る東大門をくぐると、参道の両脇に青々としたモミジが生い茂るのが初夏の石山寺。訪れた日はちょっと雨模様で、葉のグリーンが濃く見えて、清々しさはアップしているよう。
そして、参道の先、階段を上って見えてくるのが石山寺の名前の由来でもある巨大な硅灰石(けいかいせき)。まるで切り立った崖のように、ごつごつとした大きな岩がそそり立っています。これは太古の昔、石灰岩が地中から突き出た花崗岩と接触し、変質してできたものだそう。国の天然記念物でもある貴重な景観で、近づいてみると、より自然のエネルギーを感じて、なんだか背筋が伸びる思いがします。
平安時代には「石山詣(いしやまもうで)」が流行し、紫式部も訪れたことでも有名です。石山寺から見る美しい月に、源氏物語のイメージがわいたとか。長く読み継がれる物語の出発点が、ここ、石山寺に。「素敵な物語が紡げますように…」と、私も絵馬にお願い事を書きました。
門前の菓子を味わったら、水面を眺めにお散歩へ
石山寺の門前では名物のお餅を忘れずに。大津市の和菓子店「叶 匠壽庵 石山寺店」の茶店で「石餅」をいただきました。もちろんこれは硅灰石をモチーフにしたもの。やわらかな餅にたっぷりの餡がのった、この店だけの限定メニューです。
一息ついたら、石山寺から「瀬田川ぐるり散歩道のコース」として整備されている川沿いの道を少し散策。川面で魚がパシャンと跳ねたり、土手に日光浴をする亀の親子がいたり。駅前の停留所でバスを待つ親子を見かけてつられて頬がゆるむ。そんな穏やかな時間が流れていきました。
心身をリフレッシュしてくれる薬膳ランチ&中国茶
ランチは瀬田川沿いの「薬膳館 茶館喫茶去」へ。点心や中国粥などの薬膳ランチと、こだわり抜いた本場の中国茶を味わえるカフェです。この日は人気のランチ「選べる点心セット」をオーダー。
せいろに肉まん、シューマイ、ちまきが1つずつ入った「点心三種盛り」のほか、お粥、蒸しぎょうざ、季節のゼリーもセット。瀬田川に向き合って、穏やかな気持ちでいただくと、心身ともにリラックスできました。また、本場中国から仕入れたこだわりの茶葉を地元の岩間山麓から湧き出る軟水の天然水でいれる中国茶も、同店の看板メニュー。お湯を注ぐと次第に開く細工茶は、見ているのも楽しい一杯でした(写真は「茶花依恋(ちゃかいれん)」)。あたたかい中国茶にほっと心が和らぎつつ、ふと壁に目をやると、こちらで開催している気功や太極拳の教室の案内も。そちらも興味津々です。
シンプルな暮らしをほんのり彩るセンスが光る一品
お出かけの最後に、ちょっと足を伸ばしてショッピングへ。北欧雑貨をメインで扱う「NORTHWEST SELECT」は20年以上も地元で愛されるショップです。
1960年代のアンティークの器のほか、竹で編んだ大小のかごや愛らしい紙雑貨やアクセサリー、そして服やバッグとさまざまなアイテムがセンス良くディスプレイされています。「セレクトは偶然の出会いの積み重ね」と店主。作家と直接会話をして、作品への想いを共有して販売しているそう。特に気になったのは、宮崎県のわら細工たくぼのしめ縄アート。こんな風に日本の文化を現代の暮らしに取り入れられたら素敵ですね。
そろそろ帰宅時間。忙しい日々にちょっとブレーキをかけて、瀬田川の流れのようにゆったりと暮らそう、そんなことを思いながら、また川沿いを「椿ハイツ瀬田川」に戻ります。