朱色の楼門が印象的な上賀茂神社。京都を代表する観光スポットであり、境内全域がユネスコ世界文化遺産に登録されています。参道の大鳥居前にある「葵家やきもち総本舗 上賀茂本店」。祖父創業の店を、杜下正和さんが3代目として暖簾を守っています。
昭和25年、杜下さんの祖父が「上賀茂神社の名物になるようなものを作りたい」という一心から、やきもちの製造・販売を開始。当初は一の鳥居前広場内に店を構えていましたが、現在は大鳥居が望む「明神会館」内にお引越ししました。
まあるく、手の平におさまる小さいサイズのやきもち。柔らかな餅にあんが包まれ、ほんのりと焼き目がついています。「毎朝、餅やあんを仕込み、その日作れた分だけ販売しています」と杜下さん。シンプルな素材の組み合わせと製造方法は、創業当初より変わらないと話します。
口にすると、まず印象に残るのが餅の柔らかさ。滋賀県にある契約農家から仕入れる羽二重餅米を使用し、きめ細かく柔らかな餅を作り出しています。中には、豆の食感を感じやすいよう仕上げた粒あんがぎゅっと。北海道産の大粒小豆と粒が大きめの「鬼ザラ」と言われる砂糖をゆっくりと時間をかけて煮込むことで、ほんのりと甘みが感じられるよう工夫しているそうです。
ラインナップは「白」と「よもぎ」の2種類(各135円)。「よもぎ」には、宮城県・蔵王で採れるよもぎを餅米に混ぜ込んでいます。
やきもちの日持ちは、冬場は4日間、夏場は3日間。自宅用や手土産にも重宝されています。「そのまま食べても美味しいですが、トースターやフライパンで少し焼いて温めてから食べるのもおすすめ。出来立てのような味わいを楽しめますよ」と杜下さん。焼くとお餅がふわっと柔らかく中のあんまで温かくなり、風味がよみがえったようになります。
70年以上、上賀茂神社前で店を構えているだけあって、小さい頃からやきもちを身近に感じている人が多く、大人になっても懐かしんで食べてくれることも多いのだとか。「この地で店を構えることに感謝し、これからも店を守り続けていきたい」と熱い思いを抱きながら、杜下さんは今日も店頭に立っています。
■葵家やきもち総本舗 上賀茂本店
京都市北区上賀茂本山339 上賀茂神社明神会館内
営業時間 9時~17時
定休日 なし
TEL.075-366-2463
公式サイト